辣油の四方山記

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

#38 『知の技法』を読んだ

小林康夫、船曳健夫『知の技法』 東京大学出版会

学術系の本について感想は非常に書きづらいので適当にツラツラ書いていくことにしました。乱文失礼。

明治時代、民法典論争の「民法出デテ忠孝亡ブ」で有名な穂積八束の兄、穂積陳重の話が出てきた。

コンコーダンスという言葉を初めて知った。元々は旧約聖書新約聖書の照応に用いられた本らしいのだが、今では違うらしい。concordia=照応が語源。ヨーロッパの昔話ということで小澤俊夫の話が少し出てきたが、何となく心当たりがあったので調べたらやはり弟は指揮者の小澤征爾、息子はミュージシャンの小沢健二だった(確かこの親子は共にドイツ文学が専門)。「強い気持ち・強い愛」しか知らないけど。
唯物論と実体論についても本を読みたい。名だけ知っててその実を知らないとはここまで悲しいのか。P105に物語の要素として〈主人公の異常な誕生〉と〈旅立ち〉が挙げられているが、これは竹取物語、桃太郎、ガルガンチュアとパンタグリュエル物語にも言えることなのではないかと思った。こういう通ずるものは面白い。普遍性を発見するのが学問だ、というのは本当なんだろうな。実感はないのだが。

Vladimir Propp『Morphology of folktale』の邦訳があれば是非読みたい。英語に自信が無いというのがこんなにも悲しいとは。共時論って何なんでしょうか?

実体=機能の話は非常によく分かるが、その例えが面白かった。チェスの駒を例に取って、仮に駒を紛失したとしてもライターで代用できるためその実体(機能)は揺るがない、というもの。あれは人間を対象としていたと思うけどサルトル実存主義と似ていやしないか。人間が如何なる職に就こうとその実存は変わらない。「人間は自由の鎖に縛られている」とかいうやつ。実存主義は人間以外も射程に入れているのか?勉強不足がヤバイな。どれもこれも読書不足。自分が悲しいですな。

江戸時代には悪口が個人に投げつけられることはあっても、日本人全体を罵倒することは明治時代以降、国民国家の成立の後にのみありえることであった。(P177)

当然かもしれないがなるほどと思った。

外発的な文明開化、近代化に晒された人々(国民)の抱く精神的外傷に関する話は面白かった。私もそういう国の一市民であるが、これからはこういう視線を持っていて損することはない。ビゴーもピエール・ロチも、気に食わないがそういう気持ちは抑えて俯瞰したい。ところで、白人は劣等感を抱いたことはあるのだろうか。今さっき気づいたのだが、この本は24年前に書かれたものであるから、いま現在はどうなのだろうかとも思う。文学などの分野はともかく地域研究などは結構変わっているのではなかろうか。

私も「ユーレカ!」と叫びたいものです。「ダーターファブラ」とかでもいいけど。