辣油の読書記録

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

#25 『セクシィ・ギャルの大研究』感想

上野千鶴子『セクシィ・ギャルの大研究』 岩波現代文庫

本当にお久しぶりです。自分がブログを更新していなかったのに特に意味はありませんが。正月、収入が少し増えるのを利用して買い出しに行ってきましたよ、全く。何て愉しいんだ。色々見つけて買うことができましたよ。念願の澁澤龍彦「少女コレクション序説」や「エロティシズム」、久米邦武の「米欧回覧実記」もあと一冊で全て揃いますしね。まあ今回は「風を受けて先頭を走るフェミニズムの旗手」として有名な東京大学名誉教授の社会学者、上野千鶴子さんの著書です。私はこの本の他にも何冊か目を付けているものがあるのですが、どれも面白そうなものばかりなので楽しみです。ジュルリ。自分は高校時代運動部でもないのに学校の設備を使って筋トレする迷惑な奴だったので物理的にマッチョになろうとしていたわけです。今でも毎日腹筋背筋腕立てを50回ずつは欠かしませんよ。なのでマッチョイズムの対極、フェミニズムについても勉強しようと思い今回読みました。フェミニズムというものがどんなものなのか、自分にはまだまだ全く分かりませんが、取り敢えずこの本は最後まで飽きませんでした(いつもなら大体30ページくらいで嫌になってくる)。上野さんがこの本をどう読んで欲しいか、というものに私の様に声を出して笑いながら「考えすぎでしょう」と読むのは該当しないと思いますが、ともかく面白かった。主に広告に見られるセックスアピールの分析が多いのですが、言われてみれば「さもありなん」となるものも多いが、「それは考えすぎだろう」と疑ってしまうものも多い。上野千鶴子さん自身非常に有名な方なのでどこかで学術論文調の文章を期待していた自分が居たのは否めないでしょうが、文体はスポーツ新聞のエロ欄に近い感じで、奥に奥に考え込んで行きたいのが一々邪魔されてしまうのが少し残念でした。それを差し引いても良書だった(かもしれない)。広告でよく見られる、ポケットに手を入れるスタイリッシュな女性、あのポーズはマスターベーションのメタファーであるという記述があって笑ってしまったんですが、完全にこれを思い出しました。

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サロメがベットに腰を掛けている絵なんですが、これはオナニーをしているから卑猥なのだと、澁澤龍彦先生も確か仰っていので多分上野千鶴子さんの記述は間違いではないのでしょう。もはや理論が飛躍しているのかどうかもよく分からない。

私も薄々感じていることですが、女性のジェンダー、セックス双方における社会進出が進んでいると思いますね。どういうことかというと、前時代的な家父長制の秩序下の社会が崩れかけているのではないかということです。当たり前といえば当たり前なのかもしれません。僕は激ヤバマッチョマンではないので特に危機感はありませんが。このことによってかつて性機能のしわ寄せを強制されていた生物的、ひいては社会的な女性は男性の目線に晒され、選ばれる立場(ディスプレイ)としての性質が大きい状態であったのが、最近ではその男女差が薄まりつつあるということでしょう。これは世の男性諸兄方感じているでしょう。昭和ではセクハラなんて当然という社会だったかもしれませんが最近では「セクハラ」という言葉が出来ている事実が象徴するように、女性が男性を攻撃することが可能になり、また男性が女性を尊重しなければならない時代がそこまで来ている(もう差し掛かっている)のでしょう。悪いことだとは思いませんよ僕は。これ以上何か言うと色んな方面から刺される可能性があるので今回はこの辺で、さようなら。