辣油の読書記録

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

#14 『美味礼賛』感想

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ブリア・サヴァラン『美味礼賛』 岩波文庫

どうも、メモの読みたい本を数えたら100冊になっていた辣油です。先日何か本を読もうと思って本棚を何となく見ていたんですね。したら自分でも忘れていたんですがどうやら神保町で結構本を買い込んでいたらしいんです。自分でもそんなに覚えてないような本が5冊ほど見つかったので得をした気分でした。その中の1冊が「美味礼賛」だったんですね。この「美味礼賛」という本、今まで読んできた本の中でもトップクラスの面白さを持っているという、それでいて学術書に部類されるだろうというのが凄いところです。学術書に近いような新書は何冊か読みましたが本当にどれも退屈なもんです。好奇心にワクワクしてられるのも最初の30ページだけですよ本当に。あとは惰性で読み進める他ない。そろそろ本題へ。

この本はフランス社交界及びそれに伴う美食文化が栄えていた18〜19世紀の法律家ブリア=サヴァランによるもので、この作者は当時(恐らくルネサンス期の影響)しばしば見られる所謂"万能人"の類の人でした。法律だけでなく化学や文学にも精通している彼が「学殖蘊蓄を傾けて」(岩波書店原文ママ)美食学というものを確立せんとして書いたのがこの本なのでしょう。もう確立しつつあったのかも知れないですけどね。自分は本を読むことにあまり意味を持たせたくない人なんですが、この本は読んでいて本当に意味があるとつくづく思わされました。普段自分達に身近な食材からこの当時の貴族層ならではの食材まであらゆる記述が見られます。読んでいく中で分かったんですけど、この時期の人達って本当によく食べるんですね。コース料理だから何皿も、酒も違うのを何杯も。酒は弱いものから強いものへ、というのは覚えたので近々試してみようと思います。この本全体として中々好感が持てたのは、美食の幅を身分というものに余り制限させていない点です。所々限りはしていますがそれは食べるものが違う為仕方ないことです。自分は「文化」という観点から徒然草が好きなのですが、アレとは大違いですよ。成立年代も500年ほど離れていますし身分の上下によるお互いの認識も違うのは分かりますが、にしても徒然草は中々嫌味なことを言いますからね。

話を戻します。この「美味礼賛」の中で著者のブリア=サヴァランがチーズフォンデュを振る舞うというのがあるんですが、現代にこの著者の名を持ったチーズがあるんですね。

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この写真のものらしいんですが、ただ名前が付けられているだけなのか、実際に作成に加わったのかは知りません。作成に加わっていたのなら是非食べてみたい。

話を変えます。自分は夜寝落ちしてしまうことが多いんですね。実際悩んでいたんですが、そういう時にこの本を読んだらコーヒーに関しても中々書かれているんで為になりました。ただ一杯で30時間起きっぱなしだったとか大分盛られているものですけども。その毒性についても結構口うるさく書かれているので心配にはなったんですが最近ブラックを1日に2杯飲みだしたんですよ。本当にコーヒー凄いですね。毎日睡眠時間3時間位で回るんですよ(確実に何処かでガタが来る)。本当に。作業もある程度捗りますし感謝ですねえ。読書に意味を持たせたくないですが、読んで意味があった。またこういう本を読みたい。最近はメディア論というのを知ったので関連の本を読んでみたいと思います。それでは。