松風の四方山記

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

#9 『薬』感想

f:id:sykykhgou:20160329113844j:image魯迅阿Q正伝狂人日記』 岩波文庫

今回も魯迅の作品です。これは全く有名ではないですよね。しかし魯迅の作品というだけあって「狂人日記」と根源にあるものは同じです。儒教社会に対する憤り、反発ということですね。おおまかなストーリーとしては、肺病(結核か?)にかかった息子を助けるために大枚叩いて迷信じみた薬を買い、飲ませるも効果無く死んでしまうというものです。この迷信じみた薬ってのは人血饅頭なんですけど、自分としては儒教云々よりもこっちの方が迷信のあり方も中国らしくてファンタジーを感じてしまいましたね。この作品の主人公的存在となっている息子の父親は店をやっているんですが、この店に来る人達の会話の中にも魯迅の嫌悪感が感じられてしまうようです。たわいも無い世間話、どこの息子が処刑された、自分の外にある事に対して好奇の目で見る事しかしない愚かな民。個人よりも集団で群れることを大事にする、一昔前の田舎者の様なもの、私もここは非常に共感できます。

にしても一種うら寂しいようなものが残りますね。