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辣油の四方山記

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

#8 「狂人日記」感想

読書感想文

f:id:sykykhgou:20160328200529j:image魯迅阿Q正伝狂人日記』 岩波文庫

前回の更新遅れを取り戻すが如く更新の早い今回は魯迅の「狂人日記」です。魯迅といえば「漢字が滅びなければ中国は滅ぶ」という言葉を残した話が有名ですがその意味を私が理解するにはまだ早そうですね。歴史上日本に最も影響を及ぼしたと言っても過言ではない中国という国を一度くらい見てみたいものですナァ。ということで本題に入ります。

まず大体の感想から言うと、非常に面白かったです。内容は当にタイトル通りで、ストーリーと言うよりかは、精神障害を抱えた人が記した日記という形をとっています。被害妄想を抱く方向が、自分が食人の餌食になろうとしているという謎の方向に向かっているのが本当に面白かったですね。行動が完全にたまに居るこういう人と、それを好奇の目で見る周囲の関係に陥ってて益々被害妄想が膨らんでいくんですね。この作品は魯迅の初期のものらしいですがこういう愉快な作品を書けるというのは真の才能なんではなかろうかと思いますね。
読んだだけではこの小説が何を言わんとしているのかよく分からなかったので軽く調べました。儒教社会の打破を目指す中での葛藤なんですかね。儒教を嫌う一方で自分もその儒教を構成するものの一つであるということに対する葛藤。ここだけ見ると難しくないですけど、読んでこの内容が分かるかってのは確実にNoですね。狂婦が自らの子供の肉を喰らったとかの事件を受けて、社会が賛成的な態度を示したことも当時の魯迅の運動を突き動かしたものなんでしょう。中国には中国の葛藤があるんですなぁ。もう少し読んでいきたいですね。
 
と、書き終わろうと読み返してて思ったんですけど、作品中において儒教を象徴しているものが食人(当時の事件も踏まえて)という考えに至ることはできるのでそれに対して狂人が日記を書き反発していくという形式なのは理解できますね。狂人は魯迅の心の代弁者ととして書かれているはずであり、作品末の「せめて子供を……」によって自身に巣食う葛藤を表しているのでしょう。