辣油の読書記録

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

#22 『ダフニスとクロエー』感想

ロンゴス『ダフニスとクロエー』 岩波文庫 今回はロンゴスの「ダフニスとクロエー」を読みました。題名見りゃ分かることですね、すいません。今回この本を読んだのは#18で扱った三島由紀夫の「潮騒」がこの作品のオマージュであるというのをあとがきで知った…

#21 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』感想

加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 新潮文庫 久しぶりの更新になりました。最近は訳あってあまり本を読んでいませんでした。全うな生活はしてるのかも。最近人生に平安はあるのか考えたんですけど、「何かを目指している限り無い。」という結…

#20 『午後の曳航』感想

三島由紀夫『午後の曳航』 新潮文庫 今回読んだのは三島由紀夫先生の「午後の曳航」です。この作品も高校時代の先生に薦められたものなのですが、よく考えてみると高校生相手にこういう本を薦めているんですよね。勇気が無ければなかなかできないと思います…

#19 徒然草に見る有職故実及び文化の伝播について

1.はじめに 本論文は1章で概要説明、2章で題名にもある徒然草に記述のある有職故実や大衆の文化についての考察、3章で総括としてのまとめを行っていく。 有職故実とは平安期前後頃から起こった学問であり、朝廷における貴族、皇族がどのように振る舞い、ど…

#18 『潮騒』感想

三島由紀夫『潮騒』 新潮文庫 本は今年一杯読まないつもりだったんですが昨日の「文字禍」といい欲望の制御が効かなくなってきました。参りました。 少し最近の話をします。私は最近澁澤龍彦という仏文学者の存在を知り、色々調べていました。これが調べてい…

#17 『文字禍』感想

中島敦『山月記・李陵』 岩波文庫 今回は中島敦の文字禍です。私がこの作品と初めて出会ったのは確か京都大学の過去問だったように思います。高校の時に授業で解かされたのですが、正直、文章と内容に呑まれてしまい問題どころではありませんでした。出会っ…

#16 『ユタの歴史的研究』感想

伊波普猷『ユタの歴史的研究』 青空文庫 これは伊波普猷という沖縄の民俗学者が書いた文章でして、作品というよりかは論文と言った方が相応しいと思います。ですから今回は感想というよりも、理解という面が強くなる。悪く言えば堅くなる。伊波普猷はその故…

#15 『宇宙論入門』感想

佐藤勝彦『宇宙論入門』 岩波新書 自分は文系ですし余り理系分野に興味はないのですが今回は理系っぽい本を読みました。宇宙のことってブッ飛び過ぎてて寧ろ文系にも親しみやすいといった印象を受けてるのは僕だけにしても勘違いもいい所ですね。申し訳ござ…

#14 『美味礼賛』感想

ブリア・サヴァラン『美味礼賛』 岩波文庫 どうも、メモの読みたい本を数えたら100冊になっていた辣油です。先日何か本を読もうと思って本棚を何となく見ていたんですね。したら自分でも忘れていたんですがどうやら神保町で結構本を買い込んでいたらしいんで…

#13 『仮面の告白』感想

三島由紀夫『仮面の告白』 新潮文庫 三月末から読んでいた本をやっと読み終えました。私にとっての三島由紀夫先生の2作目、先生にとってはデビュー作とも言える「仮面の告白」です。この作品はほぼ自叙伝ともいえるものですが、幼少時に従姉妹が主人公のこと…

#12 『阿Q正伝』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 お前は一冊の本から何個ブログ記事書けば気が済むんだ、と当ブログ読者集合φから指摘されてしまいそうですが私にそんなことは関係ない。短い小説だと記事数稼げるんですよこれ、ね。Twitterでの告知を辞めてからというも…

#11 『故郷』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 これは非常に有名な作品ではないでしょうか。魯迅「故郷」です。まず中学校の教科書に載っていると思いますが、当時は読んでも何も思いませんでしたね。最後の部分も意味ありげだということしか分からない。そんな感じで…

#10 『明日』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 今回も魯迅「明日」という作品です。この作品では病気になってしまった宝児という赤子とその母親の単四嫂子の所謂シングルマザー家庭の話が主になっています。この家庭というのはかなり生活に苦しい状態であり、母親は常…

#9 『薬』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 今回も魯迅の作品です。これは全く有名ではないですよね。しかし魯迅の作品というだけあって「狂人日記」と根源にあるものは同じです。儒教社会に対する憤り、反発ということですね。おおまかなストーリーとしては、肺病…

#8 『狂人日記』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 前回の更新遅れを取り戻すが如く更新の早い今回は魯迅の「狂人日記」です。魯迅といえば「漢字が滅びなければ中国は滅ぶ」という言葉を残した話が有名ですがその意味を私が理解するにはまだ早そうですね。歴史上日本に最…

#7 『栽培植物と農耕の起源』感想

中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』 岩波新書 殆どいないに等しい当ブログ読者の皆さん、更新の大幅な遅れが観測されたと思いますがそれは幻ですよ幻。気にしないでくださいね。なんか新書になった途端遅くなったんですよね。読むのが。今回は多少学術系の話…

#6 『偸盗』感想

芥川龍之介『羅生門・鼻・芋粥・偸盗』 岩波文庫 今回は芥川龍之介の「偸盗」ですね。この本はどこかで読まされた気がするんですがあの時の自分の集中力では偸盗程度の作品すら読めなかったんですかね。にしても司馬遼太郎の作品は幾つか読んでいたので多少…

#5 『母を恋うる記』感想

谷崎潤一郎『刺青・秘密』 新潮文庫 高が一冊の文庫本程度でいつまで谷崎作品で引っ張るんでしょう。全く情けない話ですがこれが最後なので許して下さい。これが終わったらあと一作品だけ小説を読んだら私は思想の勉強をしようと思っていますので、いないで…

#4 『二人の稚児』感想

谷崎潤一郎『刺青・秘密』 新潮文庫 今回も同じ本から「二人の稚児」という作品です。この作品は自分にはそこまで響きませんでした。恐らく自分が、心に響くだけの器ではないからでしょう。まず第一にこの作品の要がどこにあるのか全く知ることができない。…

#3 『少年』感想

谷崎潤一郎『刺青・秘密』 新潮文庫 今回は谷崎潤一郎の「少年」という作品です。刺青っていうと「ああ〜」みたいな反応されることが多いのでそっちの方が有名なんでしょう。自分はまだまだ未熟者の童貞なので「刺青」を読んでもイマイチピンとこなかった、…

#2 『刺青』感想

谷崎潤一郎『刺青・秘密』 新潮文庫 今回は谷崎潤一郎の「刺青」です。この作品は非常に短く前回の金閣寺の余韻に浸る間もなく読めてしまいました。自分は長編とかだとすぐに飽きが来てしまってダメな人間なのでショートショ、くらいの短かさが丁度いいんで…

#1 『金閣寺』感想

三島由紀夫『金閣寺』 新潮文庫 いや〜今回は三島由紀夫の金閣寺です。読む前までは吃音に悩む若い学僧の溝口が金閣寺に放火してしまうという話しか知りませんでした。それが大体のあらすじなわけですが。自分は小説というと、今まで司馬遼太郎の歴史小説し…

ブログ開設

以前から他のSNSはやっていたのですが段々満足出来なくなってきたのでブログを始めました。ここで満足というワードが出てきたので少し分かりましたけどもSNSって完全に自己満足ですよね。他人と繋がっても満足、お気に入り、いいねされてもまた満足。満足の…