辣油の四方山記

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

三島由紀夫作品に見る"死"の断片

1925年1月14日、鮮烈な人生を、誰よりも早く駆け抜けた一人の知識人が、四谷に生まれた。三島由紀夫である。彼はほとんど昭和が始まると同時に生まれ、日本が、良くも悪くも様々なことを経験した時期と共に生きた。そしてこの知識人は1970年11月25日、切腹し…

#35 『英単語の世界』感想

寺澤盾『英単語の世界』 中公新書 最近よく本棚の並びが私、気になります。私はなるべく多くの本を棚に収納したいので文庫本の段や新書の段、大きい本の段という風に大きさによって段ごとに分けて使っているんですが、そうすると関連のある本数冊をまとめて…

#34 『茶の本』感想

岡倉天心『茶の本』 講談社学術文庫 今回のこの本、知ってる方もおられると思いますが、この本は元々英語で書かれたものであり、原題を『The book of tea』、岡倉天心(覚三)が東洋の茶道文化や美意識を欧米に伝えんとして書いたものです。私は勿論日本語で読…

#33 『風姿花伝』感想

世阿弥『風姿花伝』 岩波文庫 今回はいかにも古典という感じの作品ですね。こういう作品を数多く出版する岩波書店さん、本当にありがとうございます。これからも沢山買い続けるので沢山古典を出版して下さい、お願いしますよ。ということで岩波書店さんへの…

#32 『ゾウの時間 ネズミの時間』感想

本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間』 中公新書 こんにちは、「やし酒のみ」の感想をもう少し真面目に書けばよかったと後悔している辣油です。あれは流石に短すぎますよね。でも大目に見て下さい。仕方ないですよ、今まで幻想文学読んだことないんですから。…

#31 『はじめての構造主義』感想

橋爪大三郎『はじめての構造主義』 講談社現代新書 最近画像をアップするのが億劫に感じてきたので著者・出版社を明記することにしました。題名が被ってる書物なんて世の中幾らでもありそうですからどの本を読んだかはきちんとアクセスできた方が良いと思い…

#30 『英語達人列伝』感想

斎藤兆史『英語達人列伝』 中公新書 どうもどうも。思ったんですけど、本が好きな人って何日に1冊のペースで読めるんですかね?まあこんな疑問は日に3度くらい考えますけど、高校時代、友人の担任が週に3,4冊のペースで読むべきだと言っていたらしいのです…

#29 『魂をゆさぶる歌に出会う』感想

ウェルズ恵子『魂をゆさぶる歌に出会う』 岩波ジュニア新書 以前話したかどうかは覚えていませんが、自分はラップやヒップホップの様なアングラに近い文化を学問的に捉える学者を探していました。本屋はうろついてみるもんですね。居ましたよ居ました、あな…

#28 『やし酒のみ』感想

エイモス・チュツオーラ『やし酒のみ』 岩波文庫 今回は私が恋い焦がれて3世紀、念願のアフリカ幻想文学という超マイナー分野、エイモス・チュツオーラの作品、「やし酒飲み」です。一部の人からするとマイナーでもなんでもないのかも。しかし設定からもう好…

映画「モテキ」考

テンション上がってうっかり万葉考みたいなタイトルを付けてしまいました、辣油です。今までは本についての内容ばかりで退屈だったでしょうが今回は私が愛して、むしろ絶対に離れることが出来ない映画、「モテキ」に関して話したいと思います。久しぶりにGE…

#27 『野火』感想

大岡昇平『野火』 新潮文庫 今回は戦争作品の金字塔、大岡昇平の「野火」を読みました。金字塔といっても自分はいくつも戦争作品を読んだ訳ではなく、今回が最初です、アハハ。金字塔という言葉を使いたかっただけなんですね。お目汚し失礼。自分はこれがど…

#26 『ドン・ジュアン』感想

モリエール『ドン・ジュアン』 岩波文庫 今回は17世紀フランスの劇作家、俳優であるモリエールの「ドン・ジュアン」を読みました。ドン・ジュアンは今回の戯曲の主人公である放蕩な貴族の名前であり、その従者スガナレルを連れて妻エルヴィールから逃げ出す…

#25 『セクシィ・ギャルの大研究』感想

上野千鶴子『セクシィ・ギャルの大研究』 岩波現代文庫 本当にお久しぶりです。自分がブログを更新していなかったのに特に意味はありませんが。正月、収入が少し増えるのを利用して買い出しに行ってきましたよ、全く。何て愉しいんだ。色々見つけて買うこと…

#24 『波止場日記 労働と思索』感想

エリック・ホッファー『波止場日記』 みすず書房 お久しぶりです。気分が少し一段落したのでまた本を読むことができました。ここで一段落してしまうのは良くないことなんですが今はそれは関係ない。今回はあまり有名ではありませんが、エリック・ホッファー…

#23 『曽根崎心中』感想

近松門左衛門『曽根崎心中・冥途の飛脚』 岩波文庫 今回は珍しく古典で短いものをと思って曽根崎心中を読みました。自分は古典というと漢文学や鎌倉以前のものしか読まないので、文字が庶民のものとなった後、江戸時代の文学は殆ど読んだことがありませんで…

#22 『ダフニスとクロエー』感想

ロンゴス『ダフニスとクロエー』 岩波文庫 今回はロンゴスの「ダフニスとクロエー」を読みました。題名見りゃ分かることですね、すいません。今回この本を読んだのは#18で扱った三島由紀夫の「潮騒」がこの作品のオマージュであるというのをあとがきで知った…

#21 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』感想

加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 新潮文庫 久しぶりの更新になりました。最近は訳あってあまり本を読んでいませんでした。全うな生活はしてるのかも。最近人生に平安はあるのか考えたんですけど、「何かを目指している限り無い。」という結…

#20 『午後の曳航』感想

三島由紀夫『午後の曳航』 新潮文庫 今回読んだのは三島由紀夫先生の「午後の曳航」です。この作品も高校時代の先生に薦められたものなのですが、よく考えてみると高校生相手にこういう本を薦めているんですよね。勇気が無ければなかなかできないと思います…

#19 徒然草に見る有職故実及び文化の伝播について

1.はじめに 本論文は1章で概要説明、2章で題名にもある徒然草に記述のある有職故実や大衆の文化についての考察、3章で総括としてのまとめを行っていく。 有職故実とは平安期前後頃から起こった学問であり、朝廷における貴族、皇族がどのように振る舞い、ど…

#18 『潮騒』感想

三島由紀夫『潮騒』 新潮文庫 本は今年一杯読まないつもりだったんですが昨日の「文字禍」といい欲望の制御が効かなくなってきました。参りました。 少し最近の話をします。私は最近澁澤龍彦という仏文学者の存在を知り、色々調べていました。これが調べてい…

#17 『文字禍』感想

中島敦『山月記・李陵』 岩波文庫 今回は中島敦の文字禍です。私がこの作品と初めて出会ったのは確か京都大学の過去問だったように思います。高校の時に授業で解かされたのですが、正直、文章と内容に呑まれてしまい問題どころではありませんでした。出会っ…

#16 『ユタの歴史的研究』感想

伊波普猷『ユタの歴史的研究』 青空文庫 これは伊波普猷という沖縄の民俗学者が書いた文章でして、作品というよりかは論文と言った方が相応しいと思います。ですから今回は感想というよりも、理解という面が強くなる。悪く言えば堅くなる。伊波普猷はその故…

#15 『宇宙論入門』感想

佐藤勝彦『宇宙論入門』 岩波新書 自分は文系ですし余り理系分野に興味はないのですが今回は理系っぽい本を読みました。宇宙のことってブッ飛び過ぎてて寧ろ文系にも親しみやすいといった印象を受けてるのは僕だけにしても勘違いもいい所ですね。申し訳ござ…

#14 『美味礼賛』感想

ブリア・サヴァラン『美味礼賛』 岩波文庫 どうも、メモの読みたい本を数えたら100冊になっていた辣油です。先日何か本を読もうと思って本棚を何となく見ていたんですね。したら自分でも忘れていたんですがどうやら神保町で結構本を買い込んでいたらしいんで…

恩師の話

高校で私は特に古典漢文と地理という科目を面白く感じ、特に積極的に学んだ。古文漢文は中学の時は特に好きであったが、反対に地理は特に苦手であった。それなのに何故好きになったかというのは高校で地理の深さ、面白味をよく教えて下さった良き師に出会え…

#13 『仮面の告白』感想

三島由紀夫『仮面の告白』 新潮文庫 三月末から読んでいた本をやっと読み終えました。私にとっての三島由紀夫先生の2作目、先生にとってはデビュー作とも言える「仮面の告白」です。この作品はほぼ自叙伝ともいえるものですが、幼少時に従姉妹が主人公のこと…

#12 『阿Q正伝』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 お前は一冊の本から何個ブログ記事書けば気が済むんだ、と当ブログ読者集合φから指摘されてしまいそうですが私にそんなことは関係ない。短い小説だと記事数稼げるんですよこれ、ね。Twitterでの告知を辞めてからというも…

#11 『故郷』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 これは非常に有名な作品ではないでしょうか。魯迅「故郷」です。まず中学校の教科書に載っていると思いますが、当時は読んでも何も思いませんでしたね。最後の部分も意味ありげだということしか分からない。そんな感じで…

#10 『明日』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 今回も魯迅「明日」という作品です。この作品では病気になってしまった宝児という赤子とその母親の単四嫂子の所謂シングルマザー家庭の話が主になっています。この家庭というのはかなり生活に苦しい状態であり、母親は常…

#9 『薬』感想

魯迅『阿Q正伝・狂人日記』 岩波文庫 今回も魯迅の作品です。これは全く有名ではないですよね。しかし魯迅の作品というだけあって「狂人日記」と根源にあるものは同じです。儒教社会に対する憤り、反発ということですね。おおまかなストーリーとしては、肺病…