辣油の読書記録

現代を生きる若造の主に読書記録。その他の事も書くかもしれない。

#48 『西部開拓史』を読んだ

猿谷要『西部開拓史』(岩波新書) 映画"once upon a time in…Hollywood"に西部劇(タランティーノが広めたマカロニ・ウェスタンも含めて)が出てきたりジョジョ7部SBRが西部開拓をストーリーとしていたりするのでこの本を読みました。なんとも浅はか。今年の3月…

映画『ファイト・クラブ』について思うこと

最後の更新から何冊か本は読んでいるがこのブログに記事を投稿することは減ってしまった。自分でも残念に思っている。 今回は自分の愛してやまない映画『ファイト・クラブ』について個人的に思っていることを雑に書いていきたい。この映画は冴えない不眠症の…

#47 『浮世の画家』感想

カズオ・イシグロ『浮世の画家』 早川書房 はい、これを読みました。元々原作を読まれていた方がどう思ったのかは分かりませんが、先日やっていたNHKのドラマは大変良かったです。少なくとも私はそう思いました。主人公の小野は渡辺謙が演じており、読んでい…

#46 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読んだ

マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』岩波文庫 1.はじめに 本記事ではマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(大塚久雄訳)の中で著者がどのようにプロテスタンティズムと資本主義の二者の関…

#45 『中国・新興国ネクサス』を読んだ

末廣昭,田島俊雄,丸川知雄『中国語・新興国ネクサス』 東京大学出版会 2018年12月出版、一帯一路構想に関するほぼ最新、最先端の研究が知れると言っても過言ではないのだと思う。私は(何故か)一帯一路構想の行く末を見守っているので日経などでもその関連…

#44 『タコの心身問題』感想

ピーター・ゴドフリー=スミス『タコの心身問題』 みすず書房 この本が出版された時からそうですが、人気の熱が冷めやらないようで最近もかなり話題になっているようですね。トークセッションなどもあったようだし。この本では、人間や犬が持っている心や意…

三月大歌舞伎を振り返って

三月大歌舞伎を観ました。歌舞伎を見るのは初めてです。周りには沢山着物を着たマダムが居りました。客の年齢層は極めて高く、皆さん足腰が弱っているのか客席の階段では多くの人が手すりに掴まっていた。ざっと見た限りでは自分が最も若かった。 演目は「盛…

#43 『三銃士』感想

アレクサンドル・デュマ『三銃士(上・下)』 岩波文庫 余りにも有名ですが、三銃士を読みました。岩波文庫上下巻で合計1200ページ、中々ボリュームがありました。最後にこういう長い作品を読んだのは三島由紀夫の『豊饒の海』のような気がします。確認したと…

#42 『砂の女』感想

安部公房『砂の女』 新潮文庫 あけましておめでとうございます。滅多に更新しなくなってしまったこのブログですが、私はきちんとブログの存在を覚えてますよ。具体的には、週4回アクセス数を確認するくらい覚えてます。いきなりですが少し良い報告があります…

#41 『月と六ペンス』感想

サマセット・モーム『月と六ペンス』 新潮文庫 この本もある友人に薦められた。友人に薦められてばっかだな俺、少しは自分から読め、という感じがする。 率直な感想としては、とんでもなく面白かった。自分はこういう話好きですね。その友人が薦めてくれる本…

#40 『五輪書』感想

宮本武蔵『五輪書』 岩波文庫 これもずっと前から読もうと思っていた本。最近同じような趣味を持つ友人と偶然出会い、色々話して思ったのだが、私の読書量など屁の突っ張りでもない。薄々気付いていたことであるが、実に良い刺激になった、ありがとうござい…

#39 『ペンギンの憂鬱』感想

アンドレイ・クルコフ『ペンギンの憂鬱』 新潮クレストブックス この本は元々友人に薦められたもので、新しい分野、雰囲気を味わうのも良いと思い読んだ。こういう海外文学を読んだのは初めてで、中々に新鮮だった、というのがまずある。小説を読むとき、情…

#38 『知の技法』を読んだ

小林康夫、船曳健夫『知の技法』 東京大学出版会 学術系の本について感想は非常に書きづらいので適当にツラツラ書いていくことにしました。乱文失礼。 明治時代、民法典論争の「民法出デテ忠孝亡ブ」で有名な穂積八束の兄、穂積陳重の話が出てきた。 コンコ…

#37 『三四郎』感想

夏目漱石『三四郎』 新潮文庫 こんなブログやっておきながら今まで夏目漱石はほとんど読んできませんでした。読んだのは『こころ』だけです。もう内容忘れましたが。 僕はこの作品好きですね。何というか合うものがあるというか。もう何度かは読める。しかし…

#36 『赤と黒』感想

スタンダール『赤と黒』 新潮文庫 今回はスタンダールの『赤と黒』です。自分は文学を真面目に勉強しているわけではないので詳しくないですが、前半は不倫文学というやつなんでしょうかね。そんな言葉あるのかな。名前しか知らないですがフローベールの『ボ…

三島由紀夫作品に見る"死"の断片

1925年1月14日、鮮烈な人生を、誰よりも早く駆け抜けた一人の知識人が、四谷に生まれた。三島由紀夫である。彼はほとんど昭和が始まると同時に生まれ、日本が、良くも悪くも様々なことを経験した時期と共に生きた。そしてこの知識人は1970年11月25日、切腹し…

#35 『英単語の世界』感想

寺澤盾『英単語の世界』 中公新書 最近よく本棚の並びが私、気になります。私はなるべく多くの本を棚に収納したいので文庫本の段や新書の段、大きい本の段という風に大きさによって段ごとに分けて使っているんですが、そうすると関連のある本数冊をまとめて…

#34 『茶の本』感想

岡倉天心『茶の本』 講談社学術文庫 今回のこの本、知ってる方もおられると思いますが、この本は元々英語で書かれたものであり、原題を『The book of tea』、岡倉天心(覚三)が東洋の茶道文化や美意識を欧米に伝えんとして書いたものです。私は勿論日本語で読…

#33 『風姿花伝』感想

世阿弥『風姿花伝』 岩波文庫 今回はいかにも古典という感じの作品ですね。こういう作品を数多く出版する岩波書店さん、本当にありがとうございます。これからも沢山買い続けるので沢山古典を出版して下さい、お願いしますよ。ということで岩波書店さんへの…

#32 『ゾウの時間 ネズミの時間』感想

本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間』 中公新書 こんにちは、「やし酒のみ」の感想をもう少し真面目に書けばよかったと後悔している辣油です。あれは流石に短すぎますよね。でも大目に見て下さい。仕方ないですよ、今まで幻想文学読んだことないんですから。…

#31 『はじめての構造主義』感想

橋爪大三郎『はじめての構造主義』 講談社現代新書 最近画像をアップするのが億劫に感じてきたので著者・出版社を明記することにしました。題名が被ってる書物なんて世の中幾らでもありそうですからどの本を読んだかはきちんとアクセスできた方が良いと思い…

#30 『英語達人列伝』感想

斎藤兆史『英語達人列伝』 中公新書 どうもどうも。思ったんですけど、本が好きな人って何日に1冊のペースで読めるんですかね?まあこんな疑問は日に3度くらい考えますけど、高校時代、友人の担任が週に3,4冊のペースで読むべきだと言っていたらしいのです…

#29 『魂をゆさぶる歌に出会う』感想

ウェルズ恵子『魂をゆさぶる歌に出会う』 岩波ジュニア新書 以前話したかどうかは覚えていませんが、自分はラップやヒップホップの様なアングラに近い文化を学問的に捉える学者を探していました。本屋はうろついてみるもんですね。居ましたよ居ました、あな…

#28 『やし酒のみ』感想

エイモス・チュツオーラ『やし酒のみ』 岩波文庫 今回は私が恋い焦がれて3世紀、念願のアフリカ幻想文学という超マイナー分野、エイモス・チュツオーラの作品、「やし酒飲み」です。一部の人からするとマイナーでもなんでもないのかも。しかし設定からもう好…

映画「モテキ」考

テンション上がってうっかり万葉考みたいなタイトルを付けてしまいました、辣油です。今までは本についての内容ばかりで退屈だったでしょうが今回は私が愛して、むしろ絶対に離れることが出来ない映画、「モテキ」に関して話したいと思います。久しぶりにGE…

#27 『野火』感想

大岡昇平『野火』 新潮文庫 今回は戦争作品の金字塔、大岡昇平の「野火」を読みました。金字塔といっても自分はいくつも戦争作品を読んだ訳ではなく、今回が最初です、アハハ。金字塔という言葉を使いたかっただけなんですね。お目汚し失礼。自分はこれがど…

#26 『ドン・ジュアン』感想

モリエール『ドン・ジュアン』 岩波文庫 今回は17世紀フランスの劇作家、俳優であるモリエールの「ドン・ジュアン」を読みました。ドン・ジュアンは今回の戯曲の主人公である放蕩な貴族の名前であり、その従者スガナレルを連れて妻エルヴィールから逃げ出す…

#25 『セクシィ・ギャルの大研究』感想

上野千鶴子『セクシィ・ギャルの大研究』 岩波現代文庫 本当にお久しぶりです。自分がブログを更新していなかったのに特に意味はありませんが。正月、収入が少し増えるのを利用して買い出しに行ってきましたよ、全く。何て愉しいんだ。色々見つけて買うこと…

#24 『波止場日記 労働と思索』感想

エリック・ホッファー『波止場日記』 みすず書房 お久しぶりです。気分が少し一段落したのでまた本を読むことができました。ここで一段落してしまうのは良くないことなんですが今はそれは関係ない。今回はあまり有名ではありませんが、エリック・ホッファー…

#23 『曽根崎心中』感想

近松門左衛門『曽根崎心中・冥途の飛脚』 岩波文庫 今回は珍しく古典で短いものをと思って曽根崎心中を読みました。自分は古典というと漢文学や鎌倉以前のものしか読まないので、文字が庶民のものとなった後、江戸時代の文学は殆ど読んだことがありませんで…